実験工房というけど、いったい何を研究しているのか
【お詫びと言い訳】 当ブログは開設当初、「個人出版 モタモタ実験工房」を名乗っていました。このエントリーのタイトルを「実験工房というけど、いったい何を研究しているのか」としたのはそういう理由です。たいした実験ができないので、サイト名を変更しましたが、自己紹介の内容もあるので、そのままにさせていただいています。
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電子書籍に再チャレンジします
僕は完全に文系タイプの人間です。
中学一年生のとき、突然、クラスのほぼ全員の男子が、海外の短波ラジオを聴取して楽しむBCLという趣味に走り、僕も便乗しました。
ぜんぜん、電波をキャッチできず、真っ先に離脱しました。
学校の勉強は、高校一年、二年まで、なんとかごまかせたのですが、高校三年になると、数学と理科の成績が急降下、志望していた国立大学(もちろん東大ではありません。残念ながら京大でもありません)をあきらめ、私大文系に逃げ込みました。
いまだに、エクセルもパワーポイントもつかえないダメな人です。
だから、自分のことながら奇怪なのですが、出版社を立ち上げようとおもったきっかけは電子書籍だったのです。
アマゾンの電子書籍サービス・キンドルが登場する直前の、尋常ではない盛り上がりに影響されて、すっかりその気になってしまいました。
もしかすると、アマゾンの情報操作に、まんまと乗せられてしまったのかもしれません。
電子書籍は一作だけ出しましたが、結果はきびしいものでした。
太平洋に葉っぱを浮かべたような感じで、誰にも気がつかれることなく、漂っている虚しさを感じました。
無名の出版社が電子書籍を出して、それなりに読んでもらうのは簡単ではないな、とやってみてはじめてわかったわけです。
紙の本はお金も時間もかかるし、たいへんなことは多いですが、出せば、それなりの手ごたえがありました。
既存の販売ルートがあって、弱小出版社であっても、ある程度、その恩恵をうけることができるからです。
そうしたわけで、電子書籍は一作を出しただけで、中断しているのですが、近く、再開すべく準備中です。
というタイミングであるうえ、ブログという場所なので、電子書籍についての話題が多くなってしまいそうですが、紙の本づくりについても書いていきたいです。
当実験工房、三大テーマです
申し上げたとおり、当ブログの筆者は典型的な文系タイプです。
このブログはずうずうしくも実験工房を名乗っていますが、 実験内容は、完全に文系的なテーマです。
電子書籍に再チャレンジしようとしていることもあり、目下の研究テーマは以下の三点です。
① ニッチでマニアックな歴史本の可能性を探る
電子書籍マーケットでの売れ筋は、マンガ、小説、ビジネス書。
桃山堂が出しているような歴史や民俗めいたニッチな作品は、電子書籍として出版してもムダなのか、それとも工夫しだいで可能性があるのか──を研究する。
② ブログと電子書籍の比較
個人が意見や作品を発表するツールとしては、ブログのほうが圧倒的にすぐれているという指摘もある。
ブログと電子書籍には、どのような共通点、どのような違いがあるのか。
このブログを続けるなかで、ブログと電子書籍の比較を試みる。
③ 歴史のなかで個人メディアの可能性を考える
新聞、出版の歴史をふまえたうえで、ひとりでやっている小さな出版メディア(個人メディア/自分メディア)に、どんなことができるのかを探る。
③はすこし大風呂敷の広げすぎかもしれませんが、新聞記者時代のことを思い出しながら、個人メディアの可能性について現在進行形で考えてみたいです。
豊臣秀吉の<謎>をテーマに本をつくっています
桃山堂という名義で、
『豊臣女系図──哲学教授櫻井成廣の秀吉論考集』
『豊臣秀吉の系図学──近江、鉄、渡来人をめぐって』
『黒田官兵衛目薬伝説──目の神、鉄の神、足なえの神』
『火山と日本の神話──亡命ロシア人ワノフスキーの古事記論』
の四作を出版しました。
このうち、電子書籍化したのは第一作『豊臣女系図』だけです。
四冊のうち二冊が豊臣秀吉にかんけいする本で、会社名の桃山堂も桃山時代にあやかったものです。
僕が本にしたいとおもっているのは、歴史の事実そのものよりも、人びとが語りつたえてきた伝承、神話、そして<謎>です。
豊臣秀吉についてのオーソドックスな歴史研究なら、大学の研究者の先生方がなさっていて、大手出版社や学術系出版社から立派な内容の本が刊行されています。
そちらの王道は恐れ多いのでおまかせして、僕のほうは、ニッチ戦略というか、キワモノ路線というか、けもの道を行くような本を出しています。
豊臣秀吉の<謎>が弊社重要テーマのひとつです。
そんなニッチなテーマの本を、電子書籍で出して意味があるのか。
ブログでやったほうが、効率がいいし、多くの人に読んでもらえるのではないか。
そうした個人的な疑問が、当ブログのスタート地点です。
もっともらしいことを、書き連ねてしまいましたが、ささやかな挑戦の日々を、できるかぎり、ナマの情報として報告します。