桃山堂ブログ

豊臣秀吉の<謎>、火山と古事記の探究、電子書籍への挑戦。

ありそうでなかった奇跡のイベント? 練馬区の図書館で練馬の出版社の展示会

「ねりまで本をつくる、本をつなぐ~練馬区出版社展示会~」というイベントが、練馬区立の南田中図書館で開かれ、弊社桃山堂の本も展示していただきました。複数の図書館で開かれている巡回イベントで、五月十四日は南田中図書館の開催日でした。

 

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弊社は桃山堂という出版社を名乗っていますが、立派な事務所をもっているわけではなく、ライター仕事をしながらの出版社のまねごとをやっている程度です。

練馬区の出版社」なのかどうか微妙な存在ですが、唯一の社員である私が練馬区民なので、練馬の出版社として声をかけていただいたようです。

ありがたいことです。

 

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電子書籍にも注力しているので、電子書籍『秀吉と翼の犬の伝説』もiPadにて展示してもらいました。

文藝春秋社から出してもらった『火山で読み解く古事記の謎』もあわせて出品。

 

 

 

 

 

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「図書館にある本で、どれか一冊、お勧めの本を」ということでしたので、西郷信綱氏の岩波新書古事記の世界』にしました。

古事記かんけいの本、あまたあるなかで、学術的な関心にとぼしい私にとっていちばん面白い本です。

こんな感想を書きつつ、ちゃっかり、自分の本の宣伝をしてしまいました。

 

国文学者の西郷信綱による『古事記の世界』は、ちょうど50年まえの1967年に出版された岩波新書ですが、今なお輝きを放つ言葉にあふれています。

 

原始や古代が終ったからといって、原始的思考や神話的思考が、跡形もなく人間の精神から消え去るわけではない。それは今なお、私たちの心の中で生命力をもちつづけていると述べたあと、西郷信綱は次のような言葉をしるしています。

 

「子供的なものが大人のなかに生きるように、人間精神にとっても過去は現在の深みまたは余白に保存され、さまざまな姿と化して明滅しつづける」(『古事記の世界』8ページ)

 

古事記を「面白い」とおもえるとしたら、それは私たちの精神の底にある〝原始の心〟が反応しているからかもしれません。

 

もし、『古事記の世界』を気に入っていただければ、同じ著者による『古事記注釈』(ちくま学芸文庫全8巻)がお勧めです。こちらも練馬区立図書館で借りることができます。

 

実は、桃山堂/蒲池明弘が出版した『火山で読み解く古事記の謎』『火山と日本の神話』は、西郷信綱古事記論に真っ向から歯向かう内容です。もっとも、西郷信綱古事記学の横綱であるならば、桃山堂はちびっ子力士のようなもの。王道と異端かもしれません。双方を読むことで、古事記の読み方の多様性を実感していただけると思います。

そこにも古事記のもつ大きな魅力があるはずです。

 

参加している出版社は、あすなろ社、うぶすな書院、榎本事務所、エリエイ・プレス・アイゼンバーン、音楽の世界社、架空社、子どもの本棚社、秀作社出版、新星書房、STAND! BOOKS、大福書林、段々社、テス企画、永岡書店、ビレッジプレス、桃山堂、リーブル、旅行人、レクラム社の十九社(あいうえお順)です。

それぞれ出版社が、自慢の五冊を展示しています。

 

中堅の老舗出版社もありますが、ほとんどは少人数の小さな出版社・編集プロダクションのようです。

エリエイ社は鉄道専門の老舗出版社で、改めて日本の出版界の奥行きを実感しました。

医学系の研究者ながら、吉本隆明推薦の思想家めいた学者である三木成夫という不思議な知識人がいました。三木成夫の本をたくさんだしている、あすなろ社の本も展示されていました。

 

私は最末席ながらも、参加社の一社なので感想を述べるのも変な話ですが、図書館での〈イベント〉としては出色の面白さだとおもいました。

 

そもそも、「地元出版社の本を展示する」というイベントが成立するのは、都心部に近いようで微妙に田舎である練馬区だかこそできた不思議な企画です。

 

本の町神保町のある千代田区にある出版社は数百を超えるでしょうから、とうていありえない企画ですし、文京区民に改めて、講談社やそのグループ会社を紹介する必然性もありません。

 まったくのヤマ勘ですが、杉並区とか世田谷区だと、百社くらいはありそうです。事務的にも、スペースのうえでも難しいとおもいます。

 

練馬の十九社というのは多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい頃合いで、まさに、練馬区の図書館だからこそ実現できた奇跡的な(?)イベントです。

 

 次回は、六月十一日(日曜日)、六月十八日(同)、それぞれ大泉図書館、貫井図書館で開催されます。あわせて、出版社の編集者による説明会も企画されています。(こちらは事前の申し込みが必要)

 

貫井図書館は、ユニークな活動が全国的(もしかすると世界的?)に注目されている練馬区立美術館と隣接しているので、ほかの区の皆さまも美術館めぐりのついでに、ぜひ、図書館ものぞいてみてください。

西武池袋線中村橋駅から五分もかからない便利な場所です。

 

練馬区美術館は、歴史的に埋もれていた才能を発掘し、光をあてる活動で知られており、話題の展覧会を連発しています。メディアでもたびたびとりあげられています。

 

 「練馬の出版社」のイベントの日は、この展示です。「漆の画家」というタイトルだけで、すでに面白そうな気配を漂わせています。

www.neribun.or.jp