あれを示す一般名詞は「電子書籍」でなく、「Eブック」のほうがよかったのでは──という、もはや手遅れの提案
ブログ内容とは無関係ですが、軍艦島の廃墟。(長崎市、自分撮影)
EメールとEブック
日本で電子書籍がいまひとつ普及しないのは、「電子書籍」というネーミングが悪いからだ。
そんな説を聞いたことがあります。
誰の発言かは忘れました。
前回、短命に終わった電子書籍専門誌「eBookジャーナル」のことを書きながら、
「もし、あの eBookジャーナルという雑誌が今も存在して、業界のオピニオンリーダーになっていたら、電子書籍という言葉のかわりに、Eブックという言葉が広がっていた、という可能性はないだろうか」
そんなことを、ふと考えました。
英語のE-mailはEメールという日本語になっています。
それならば、E-bookがEブックになるほうが普通であるような気もします。
E-bookという言葉よりも前に、電子書籍という言葉が存在していたのでしょうか。
そのあたりの歴史はよくわかりません。
「電子書籍」は四文字のうち三文字が四角っぽくて、まじめで硬いイメージを漂わせています。
でも、現実の電子書籍は、よい意味でもわるい意味でも軽々としていて、実体の感触に欠けています。
Eブックの語感は、そのフワフワとした印象に近いのではないでしょうか。
書籍の「籍」の竹かんむりは竹簡に由来するらしい
そもそも、書籍の「籍」の字は、紙がない時代の中国で、竹に文字を刻んで記録をのこした竹簡に由来するらしいです。
いま調べたら、漢和辞典にそう書いていました。
戸籍の「籍」の竹かんむりがそれを示しています。
ということは、書籍は強靱な記録能力をもつことによって、書籍と呼ばれることになります。
ところが、電子書籍はストアが販売をやめたり、フォーマットが変更されたり、もろもろの理由によってすぐ読めなくなってしまいます。
電子書籍に「籍」を名のる資格はあるのか。
大先輩の竹簡、木簡に失礼ではないか。
そう思って、いま、ウィキペディアを見たら、「電子書籍」を中国では「電子書」ということを知りました。
なぜか、電子書籍から、「籍」の字が抜けています。
中国語にはまったく不案内なので、理由はわかりません。
ご存じ方がいれば、教えてください。