超零細出版社にとって、電子書籍EPUBファイルの自作は最低条件
どうして電子書籍のEPUBファイルを自分で制作する必要があるかというと、専門の業者に依頼するとけして安くはない料金がかかるという至極単純な理由によります。
福岡県筑後市、JR九州の羽犬塚駅前の羽犬像。桃山堂電子書籍『秀吉と翼の犬の伝説』より。
EPUBファイル制作の価格
三年ほどまえ、一冊だけ電子書籍をつくったとき、EPUBを自作しようとして、セミナーに行ったり、教則本を買ったり、いろいろと研究したのですが、結局、わけがわからないまま断念して、複数の専門の業者に料金を照会しました。
活字中心の200ページくらいの紙の本を出版したあと、そのテキストデータを、EPUBにする案件ですが、だいたい、3万円前後でした。
今回は、すんなり自分でEPUBが制作できたので、EPUB変換の業者に問い合わせてはいないのですが、いま、ネットで引いたところ、だいぶ安くなったといっても、二万円から一万何千円くらいはかかるような感じです。
もっとも、EPUB変換といっても、複雑な物理学の数式がたくさん出てくるファイルと文字ばかりでほとんど見出しもない小説とでは、まったく作業量が違うのですから、ケースバイケースで平均的な価格はよくわかりません。
仮に二万円としてみても、EPUB変換を業者に依頼できるのは中堅以上の出版社とか売れ筋の本である程度の売上が見込める作品にかぎられるのではないでしょうか。
EPUB変換業者に出すお金などない
たとえば、紙の本として、三千部とか二千部くらいのやや専門的な本を電子書籍として出版して、どれくらい売れるかわからないのに、業者に二万円払えるかというと躊躇してしまうとおもいます。
まったくの印象ですが、電子化されている本の大半は、紙の本としてもよく売れている本が多いのではないでしょうか。マンガとかライトノベルとか。
当たり前といえば、当たり前ですが。
超零細出版社を運営している私は、電子書籍を手がけるとしたら、EPUBファイルを自分で作ることは絶対条件であるとおもっていました。
三年まえに電子書籍を一作だけ出して、そのあと中断していたのは、私のデジタル的な知識ではEPUBの自作ができなかったからです。
今回、電子書籍に再チャレンジしたのは、いまなら、それができるかもしれないとおもったからです。
自分で言うのも変ですが、非常に偏った内容の本ですから、たいして売れるはずもないのですが、電子書籍の自作というハードルをクリアーしたことで、今後、いろいろと面白いことができるのではないかと、展望だけはふくらんでいます。
(つづく)