夢みるように読む──『火山で読み解く古事記の謎』の正しい読み方!?
前々回のエントリーで紹介した書評記事は、大学時代の友人に書いてもらった「内輪ぼめ」だったのですが、こちらは、まったく面識のない人が書いてくれたものです。『火山で読み解く古事記の謎』をどのように購入し、どのように読んでいただいたかがわかる貴重なデータなので、無許可でもうしわけないのですが、話題とさせていただきます。
火山で読み解く古事記の謎 | A HARD DAY’S BLOG
購入に至る背景
文春新書『火山で読み解く古事記の謎』の場合、私は著者として原稿を書いただけで、営業的なことには関与していないのですが、個人営業で出版社のまねごとをやっているので、本をどのように買っていただき、どのように読んでもらうのか、ものすごく関心があります。
最近定期的に新書を買って読むようにしています。かつてはどうしても昭和の陸海軍検証ものが多かったのですが、今は現代の世界情勢ものも読むようにしています。
そして2週間前に本屋でどれにしようかな、と本棚を眺めていて目に入ったのがこれです。
思わず、「ありがとうございます!」と叫んでしまいそうですが、冷静になって、分析するならば、アマゾンなどネット書店ではなく、ふつうの本屋さんで購入いただいたことにまず、注目します。
新書のコーナーで、何か面白そうな本はないかなと、探していたことがわかります。
小学生の頃に歴史漫画を読んでいたせいか、中学校の日本史は自然に覚えていた感じで全然苦労しなかったのですが、高校に入ってからの日本史はやたら長ったらしい仏像の名前ばかり出てきて一気に興味を無くしました。
実際高校の期末テストではいつも40点台でした。
そんな事も思い出しつつ読み始めたら、意外に面白かったです。
古事記や日本書記の神々の物語とその舞台が日本列島の火山地帯とその活動と密接に関連しているという説をいろいろ検証していて、ふーむ、なるほど、と感心しながら読みました。
私の場合、同じような名前の藤原氏がうじゃうじゃ登場するのが嫌で、高校時代は世界史と倫理社会(という教科が今あるのかどうか?)の方が好きでした。
このブログの筆者さんが、日本史マニアとか古事記オタクのような人でないことは確かですが、手に取っていただき、「ふーむ、なるほど」というリズムで読んでもらえてありがたいです。
新幹線のうつらうつら
このブログ記事が面白いのは、読んでいる場所と状況が正確に書かれていることです。
3月末の大阪出張の行き帰りに電車の中でも睡眠を挟みつつも随分読み進みました。
読んでいる本がつまらないので、活字をおっているうちに睡魔に襲われるということは誰にとってもよくあることだと思います。
たぶん、新幹線だとおもうのですが、うつらうつらしながら読んで、「意外に面白かったです」と言っていただけるのは、とてもうれしいほめ言葉です。
古事記は日本列島人の夢か
このブログの書評記事を読んでいて、思い出したことがあります。
神話というものはひとつの国民の夢のようなものだ──というような言葉を読んだ記憶があるのですが、誰の言葉が思い出せず、詩人だろうか、それとも哲学者かと考えつつ、ネットで検索してみたら、次のような言葉がありました。
夢は睡眠者の私的な神話であり、神話は諸民族の覚醒夢である。
フロイトの言葉だと書いていますが、引用文献が出ていません。
なんかユングっぽい言葉だともおもえますが、私はフロイトもユングもきんと読んでいないので、誰かの本の引用が、ぼんやりとした記憶として残っていたのだとおもいます。
古事記が日本列島の住民の夢の記録であるならば、新幹線のうつらうつらの夢のつづきのように、『火山で読み解く古事記の謎』を読んでいただいたことは、なんとも光栄なことです。
そして、夢みるように読むことは、古事記神話の正しい読み方ではないかという気もしてきます。
ところで、この書評記事を載せていただいたブログのタイトルは
"A HARD DAY’S BLOG"。
ビートルズ好きで、かつ、ジョン・レノン派だな、ということがわかる傑作ブログタイトルです。
A HARD DAY’S BLOG - バイトくんの記事一覧
数十年まえ、バイト先の会社で送別会をしてもらったときに、黒い財布を贈られたという思い出の記録。とてもいい話です。