桃山堂ブログ

歴史、地質と地理、伝承と神話

ビジネス分野で活躍する人たちにも読んでいただきたい『邪馬台国は「朱の王国」だった』

ネット上にブックレビューを書いている人たちの集う「本が好き!」というサイトに、文春新書『邪馬台国は「朱の王国」だった』を献本しました。新作の本を無料で入手できるので、本好きの人には最適のサービスだと思いますが、レビューを必ず書くことが条件。興味のある方は、こちらをご覧ください。

 

www.honzuki.jp このサイトに載せるための、自著紹介の文章を書きましたので、当ブログにも転載することにします。

タイトルだけでは、ベタな古代史本にしか見えないとおもいますが、実は、ビジネス、経済に関係する本でもあることをアピールしています。

 

※アンダーライン部分は、「本が好き!」サイトからの質問項目です。

 

 
どのような方におすすめか (献本のミスマッチを防ぐため、 ご記入下さい)

 

ジャンルとしては古代史ですが、筆者がもともと新聞社の経済記者だったこともあり、経済史・産業史の視点をとりいれています。歴史にはあまり関心がなくても、企業や役所で、日々、経済の現場に接している方々にも、ぜひ、読んでいただきたいと思っています。

邪馬台国をタイトルに掲げていますが、扱っている期間は、邪馬台国の時代から奈良時代までです。邪馬台国だけを話題にした内容ではありませんから、古代史好きの人であれば、有益なデータを提供できるかもしれません。

 

 


概要 (書籍の概要を簡潔にご記入下さい)

 

マルコポーロの「東方見聞録」は黄金の島ジパングの伝説を西欧世界に広め、大航海時代の呼び水になったとも言われています。それより千年ほど前の三世紀に書かれ、日本列島の様相を漢字文化圏にはじめて紹介したのが「魏志倭人伝」。この中国の史書は日本列島を代表する地下資源として、「丹(朱)」をあげているのです。

 

朱の鉱物としての名称は辰砂。化学組成のうえでは水銀と硫黄の化合物(硫化水銀)なので、硫黄を分離すると水銀になります。水銀の毒性を知っている現代人にとっては不可解なことですが、朱と水銀は不老長寿を標榜する古代中国の神秘医学で最も珍重された鉱物で、金銀に匹敵する経済価値をもっていました。朱と水銀は、古代から室町時代ころまで、日本列島を代表する輸出品だったのです。

 

朱の鉱床は火山活動によって形成されるので、火山列島の日本には多くの朱産地がありました。そのうち、最大の朱の鉱床があったのが奈良県宇陀市桜井市、次いで三重県の伊勢地方です。鉱床の規模では劣るものの、火山の多い九州にはほぼ全県に朱の鉱床があり、奈良、伊勢と並ぶ代表的な朱産地とされています。邪馬台国の所在地をめぐっては、江戸時代以来、奈良説と九州説が拮抗していますが、朱の鉱床の分布において、奈良と伊勢と九州は三大産地の様相を呈しているのです。こうしたデータをふまえて、この本で提示しているのは、邪馬台国の最大のミッションは、朱の輸出だったのではないかという仮説です。

 

筆者である私は以前、読売新聞社の経済部に勤務していたこともあり、縄文時代旧石器時代からの産業史についての本を書いてみたいと思い、データを集めているところです。火山列島としての日本の産業史を考えるうえで、朱と水銀はとても重要な鉱物資源です。この本は、邪馬台国時代から昭和時代に至る「産業史」の一断面としても読んでいただけると思います。

 

 

キャッチコピー ※必須(全角50文字以内) 

朱という鉱物から考える経済史的な邪馬台国


概要 ※必須(書籍の概要を簡潔にご記入下さい)

マルコポーロの「東方見聞録」は黄金の島ジパングの伝説を西欧世界に広め、大航海時代の呼び水になったとも言われています。それより千年ほど前の三世紀に書かれ、日本列島の様相を漢字文化圏にはじめて紹介したのが「魏志倭人伝」。この中国の史書は日本列島を代表する地下資源として、「丹(朱)」をあげているのです。
朱の鉱物としての名称は辰砂。化学組成のうえでは水銀と硫黄の化合物(硫化水銀)なので、硫黄を分離すると水銀になります。水銀の毒性を知っている現代人にとっては不可解なことですが、朱と水銀は不老長寿を標榜する古代中国の神秘医学で最も珍重された鉱物で、金銀に匹敵する経済価値をもっていました。朱と水銀は、古代から室町時代ころまで、日本列島を代表する輸出品だったのです。
朱の鉱床は火山活動によって形成されるので、火山列島の日本には多くの朱産地がありました。そのうち、最大の朱の鉱床があったのが奈良県宇陀市桜井市、次いで三重県の伊勢地方です。鉱床の規模では劣るものの、火山の多い九州にはほぼ全県に朱の鉱床があり、奈良、伊勢と並ぶ代表的な朱産地とされています。邪馬台国の所在地をめぐっては、江戸時代以来、奈良説と九州説が拮抗していますが、朱の鉱床の分布において、奈良と伊勢と九州は三大産地の様相を呈しているのです。こうしたデータをふまえて、この本で提示しているのは、邪馬台国の最大のミッションは、朱の輸出だったのではないかという仮説です。
筆者である私は以前、読売新聞社の経済部に勤務していたこともあり、縄文時代旧石器時代からの産業史についての本を書いてみたいと思い、データを集めているところです。火山列島としての日本の産業史を考えるうえで、朱と水銀はとても重要な鉱物資源です。この本は、邪馬台国時代から昭和時代に至る「産業史」の一断面としても読んでいただけると思います。


出版社/編集者/著者からのメッセージ (書籍に関して、お伝えしたいメッセージを ご記入下さい)

なぜ、邪馬台国論争はいつまでたっても結論が出ないのか。なぜ、天皇家の始祖神を祀る神社が、都から遠い伊勢につくられたのか。なぜ、神武天皇は九州南部から奈良に旅立ったのか。奈良の大仏とお水取りの祭祀には、どのような根源的な意味があるのか。
邪馬台国を「朱の王国」とする仮説を手がかりに、古代史をめぐるこれらの謎に新しい解釈を示しています。

 

 

目次

序章   奈良と九州──太古の火山と朱の鉱床群

失われた朱(あか)い風景

朱と邪馬台国

千五百万年まえの巨大噴火

朱の歴史学の先人たち

世界七位の産出国

〝見えない鉱山〟を探して

金山、マンガン鉱山と朱

 

第一章 邪馬台国──「朱の王国」のはじまり

朱のジパング

ボディペインティングと入れ墨

その山には丹あり

松浦地方の自然水銀鉱山

火山列島の輸出品

丹生地名の証言──波佐見町嬉野市エリア

倭国の副都の朱い墓

伝説の考古学者

朱の文化の発信地

糸島市は朱の交易都市か

「朱の再発見」というシナリオ

ビジネスチャンスの発生

丹生氏のルーツは伊都国か

移動する人たち

ヤマトと邪馬台国の関係

 

第二章 神武天皇神功皇后──古代産業の記憶

鹿児島県から物語がはじまる

姶良カルデラ神武天皇の妻

東征伝説と金山

血原の赤い大地 土蜘蛛との戦い

神武天皇のマジック

水分神社と朱産地の関係

光る井戸の謎

吉野の経済力

朱の女神の支援をうけて

神功皇后邪馬台国観光?

神功皇后卑弥呼」説」

丹生と誕生

宇佐「邪馬台国」説ちらつく神秘医学の影

戦いではなくビジネス

赤い波にのって

 

第三章 前方後円墳と朱のバブル

卑弥呼の古墳?

朱の山のふもとのヤマト

前方後円墳の異常な大きさ

巨大古墳の財政的な裏付け

奈良の経済基盤は?

朱の時代のはじまり

古墳時代は「桜井時代」

赤い糸の伝説

「朱の長者」がいた?

奈良と大分を結ぶ伝承

海の民の古墳

朱砂と三輪素麺

秩父帯と朱の鉱床

滋賀にあった二つの王宮

土蜘蛛とは何者か

大地にひろがる赤い糸

ヤマトタケルの悲劇

邪馬台国(株)の本社はどこだ

朱いマネーの恩恵

 

第四章 奈良時代──「朱の王国」の黄昏

最後の前方後円墳

天智天皇にまつわる謎

天武天皇始皇帝

朱い皇族、息長氏

邪馬台国近江説

朱の年号

東大寺と太古の火山

大仏と水銀──古代のアマルガム技術

お水取りと朱と水銀

龍穴と京都のマンガン地帯

東大寺と不老不死の秘薬

宇佐八幡神と大仏

鯖街道と鯖の経典

鯖江市「邪馬台国」説

伝説うずまくお水取りの道

宇陀の水取一族

白洲正子が歩んだ朱の道

木津川流域にただよう朱の気配

息長氏の寺

天平勝宝四年春、何が起きたのか

十一面観音と朱産地

 

第五章  伊勢──なぜ、そこに国家的な神社があるのか

謎だらけの起源

伊勢神宮は朱の鉱脈に鎮座している

朱座──伊勢商人の前史

伊勢・奈良・丹波

政治都市か、経済都市か

卑弥呼はヤマト姫──内藤湖南邪馬台国

三輪から伊勢へ

丹波の元伊勢

丹後王国と浦島太郎

女神の系譜

なぜ、天照大神天皇家の先祖神なのか

朱の道は縄文時代へとつづく

伊勢は最後の朱産地

大地の歴史と人間の歴史